伝統技法

三川内焼には形成や染付など、さまざまな伝統的な技法が存在します。五光窯ではそれらの絵付けや技法を継承しながら制作しています。


古平戸

古平戸とは、三川内皿山が平戸藩御用窯であった時代に焼かれた磁器のことです。 江戸時代には、藩主の命により幕府や朝廷への献上品を造り、繊細な染付や卓越した細工の技術を誇りました。平戸藤祥五光窯では御用窯の技術を受け継いで作品を造り続けていま す。

 

 

 

染付団龍盃

龍が丸く円のように描かれるデザインを団龍と呼びます。絵が途切れることのなく丸くなる縁起よい意匠です。

江戸時代の平戸藩お抱え絵師が絵手本に描いた紋様を再現しました。

同様のデザインの花瓶が大英博物館に所蔵されています。

 

 

 

染付波千鳥 茶盃

平戸島の海の風景を思わせる波千鳥紋様です。

こちらも江戸時代の平戸藩お抱え絵師が絵手本に描いた紋様を再現しました。

古平戸の波千鳥紋様は繊細に描かれ、この紋様の風炉はメトロポリタン美術館に所蔵されています。

 

 

 

染付山水絵卵殻手鉢

こちらも平戸藩伝来の絵手本に描かれた山水紋様です。

狩野派に由来する繊細な山水絵が三川内焼の特徴です。

極薄の卵殻手の器に描き、内側と外側の紋様が透けて見えます。

 

 

 

染付金彩白梅絵 飾り縁鉢

肥前地区に伝わる伝統技術「飾り縁」の器です。手轆轤の技で縁に飾りを施しました。

古平戸にも多く描かれた白梅紋様。

染付で描き、縁には淡い色合いで金襴二度焼の絵付けを描き加えました。

 

 

 

亀山龍 鉢

長崎出島の近郊の伊良林の地に、商人たちによる磁器の窯が開かれ、「亀山焼」と呼ばれました。

三川内皿山をはじめ肥前地区の陶工達を呼びよせ、上質の天草陶石と平戸藩領内の網代陶石を使用したと伝わります。

50年ほどの短期間で廃窯となりましたが、その跡地には坂本龍馬たちが集い、「亀山社中」の活動拠点となりました。

坂本龍馬愛用の碗は「亀山製」の高台銘が染付で描かれた亀山焼の逸品であります。

平戸藤祥九代目藤本熊治は、その当時、長崎出島の平戸藩物産会所の貿易に携わり、龍馬の写真で有名な上野彦馬撮影局にて写真を撮影し、原版が今も伝世します。

平戸藤祥十三代目藤本岳英は、伊良林の地などに赴いて亀山焼を研究し、その当時の長崎出島商人が追い求めた磁器技術の再現に挑みました。

原材料を当時のままに厳選し、「亀山龍」という銘で器を謹製しております。

 

 

 

       

   

古平戸 置上 ななかまど紋 花器

古平戸に代表される技法の一つは、置き上げ(浮きあげ)技法と呼ばれる三川内に伝わる技で、紋様が浮き彫りになっています。ヨーロッパにおいては「天使の技法」と謳われた技です 明治期の工業デザイナー納富介次郎は、置き上げ技法の事を「セーブル」「ミントン」に先んじており「三川内ヲ以テ先鞭トセザルベカラズ」と述べています。


官窯温潤手

明時代宣徳帝の治世に、最高峰と称えられる磁器が官窯で造り出されました。 磁胎は潔白で玉のようにきめ細かく、釉質は温潤で、絵付けも格調高く、優雅な雰囲気を漂わせています。 三川内焼の技術で、官窯最高峰の染付、釉裏紅、紅釉の技に挑みました。温潤(おんじゅん)と称される質 感は、写真では表現できません。

官窯温潤手の詳しい内容


辰砂

辰砂・釉裏紅とは、発色に銅を用いた窯変技法です。