金襴二度焼と色絵付 

金襴二度焼とは、本焼きした器に赤などの色絵で絵付けして焼成し、さらにその上に金彩で模様を描いて再度焼成して絵付けする技法です。

幕末の頃に西欧へ輸出され、ジャポニズム様式として人気を博しました。


金襴二度焼花鳥絵「赤い鳥」卵殻手珈琲碗皿

日本で珈琲碗皿が初めて焼かれて輸出されたのは平戸藩窯の三川内皿山であったともいわれ、藩は西欧の嗜好に合わせた絵付けを開発しました。

平戸藤祥九代目藤本熊治は嘉永年間(1848~1854)赤絵附をはじめたとされ(三川内窯業沿革史)、さらには赤のほかにも黄・燕脂・緑に金彩を加えて加飾を施し、長崎出島からの貿易事業に携わりました。

 

 

 

置き上げ金彩 蓋物

藍色の下地に白花を置き上げ技法でレリーフに加飾しました

白い蓋物に藍色と金彩が際立ちます

 

 

 

藍金彩の器

下地の色のヴァリエーションを増やし、青や緑などの色絵の上に金彩で模様を描きました。

絵模様は、正倉院御物の五弦の琵琶の螺鈿模様をモチーフに考案してあります。

幕末や明治の金襴二度焼は赤や黒を下地にして描かれましたが、色味を変えるとモダンな印象になります。

 

 

 


花兎模様の器

染付と金襴二度焼を組合せて描きました。

花兎模様は、古代ギリシャにルーツがあるとされ、布地の模様としてシルクロードを渡ってきました。

茶道では「花兎金襴」とよばれる名物裂が伝わり、仕覆や古帛紗に用いられる格の高い紋様です。

 

 

左馬模様の器

左馬は倒れないという伝承から、「馬」の漢字を鏡文字のように見立てた紋様です。

縁起の良い絵柄で、運を引き寄せると言われています。

染付に淡い金襴二度焼を加えて落ち着いた印象に描きました